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2023年04月28日

【生前贈与】おしどり贈与のメリット・デメリットとは?利用する際の注意点

相続コラム|岡山県みやぎ司法書士事務所

 
<目次>

1.おしどり贈与とは
2.おしどり贈与を利用するための3つの要件
3.おしどり贈与のメリット
4.おしどり贈与の注意点
5.おしどり贈与の手続き方法
6.まとめ






1.おしどり贈与とは

おしどり贈与は、正式には「贈与税の配偶者控除」という名称の制度です。

この制度は、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、贈与税の基礎控除110万円のほかに、最大2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。

つまり、贈与税の基礎控除110万円に加えて、最大2,000万円まで控除できるため、最大で2,110万円の控除を受けることができます。




2.おしどり贈与を利用するための3つの要件

おしどり贈与を利用するためには、次の3つの要件を満たす必要があります。

①夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
この婚姻期間は、法律婚のみを指し、内縁関係・事実婚は含まれません。

婚姻期間は通算で換算するため、結婚5年で離婚し、同じ相手と再婚して15年以上が経過した場合、婚姻期間が合計20年を超えるため適用が可能です。


②「居住用不動産」または「居住用不動産を取得するための金銭」であること
配偶者から贈与された財産が、 「居住用不動産」または「居住用不動産を取得するための金銭」である必要があります。
住む予定のない住宅の購入や、居住用不動産以外の贈与については、適用できません。


③贈与を受けた年の翌年3月15日までにその居住用不動産に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
この特例を利用するためには、「贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みである」必要があります。




3.おしどり贈与のメリット

おしどり贈与のメリットは次のとおりです。

(1)財産を分散することにより相続税を減らすことができる
例えば、夫婦の財産のほとんどを夫が所有していた場合に、夫が亡くなってその財産を妻が相続すると、相続財産の額によっては高額な相続税が発生することになります。

しかし、おしどり贈与で夫の財産を2,000万円分を減らしておくことにより、相続のときに発生する相続税を減らすことが可能です。


(2)相続直前の贈与でも相続財産に加算されない
通常の贈与の場合、贈与が行われた日から3年以内に相続が発生した場合、贈与した額を相続財産に加算して、相続税を計算する必要があります。
そのため、亡くなる直前に行った贈与に関しては、相続税対策としては効果がありません。

しかし、おしどり贈与の特例を利用した場合は、相続税の計算をするとき、贈与した額の足し戻しの対象外となります。
つまり、近いうちに相続が発生してしまうかもしれないという状況でも、贈与によって財産を減らしておくことができます。


(3)自宅売却時の3,000万円の特別控除の特例が2人分使える
将来的に自宅を売却予定の場合、おしどり贈与は有効な手段です。

マイホームを売却した場合、所得税に関して「3,000万円の特別控除の特例」を受けることができます。
3,000万円の特別控除の特例とは、不動産を売却した場合、得た利益に対して譲渡所得税が課せられますが、3,000万円までは非課税となる制度です。

この特例は、所有者ごとに適用することができるため、夫単独の名義から、おしどり贈与を利用して夫婦共有名義にしておくことで、夫婦で6,000万円の特別控除の適用を受けることができます。




4.おしどり贈与の注意点

(1)相続と比較すると余分な不動産取得税・登録免許税等がかかる
不動産取得税は、相続の場合は非課税ですが、贈与の場合は固定資産税評価額の3%の税金がかかります。
また、登録免許税も、相続の場合は0.4%ですが、贈与の場合は2%の税金がかかります。

そのため、おしどり贈与を利用することでかえって税負担が増えてしまう可能性があります。


(2)贈与してもらった配偶者が先に亡くなる可能性がある
おしどり贈与を利用して夫から妻に贈与したとしても、先に妻が亡くなった場合は夫が相続することになり、贈与した意味がなくなってしまいます。


(3)そもそも相続時の配偶者控除を使えば税金はかからない
配偶者が亡くなって相続開始した場合、「配偶者の税額の軽減」という特例があります。
この特例は、1億6,000万円もしくは配偶者の法定相続分に相当する額のどちらか大きい金額までは相続税がかからないという制度です。
つまり、配偶者は1億6,000万円までの相続であれば相続税がかかりません

1億6,000万円を超えて相続税が発生しそうな場合は、おしどり贈与をすることが有効であるケースもありますが、その場合も、おしどり贈与をするための様々な費用を検討したうえで利用する必要があります。


(4)小規模宅地の特例が使えない
相続の場合は「小規模宅地等の特例」という制度があります。
この特例は、一定の要件に当てはまる土地を相続した際、その一定面積まで、相続税の計算をする際の評価額を50%または80%減額できるという制度です。
この小規模宅地等の特例は、おしどり贈与をした場合には使うことができず、相続の場合にしか利用することはできません。




5.おしどり贈与の手続き方法

おしどり贈与の適用を受けるためには、以下の書類を添付して、税務署に贈与税の申告をすることが必要です。
申告期限は、贈与を受けた翌年の2月1日〜3月15日です。

①財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本または抄本
②財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
③贈与を受けた居住用不動産の登記事項証明書

※贈与された財産が取得資金ではなく居住用不動産であった場合は上記3つの書類に加えて、
④その不動産を評価するための書類(固定資産評価明細書等)




6.まとめ

今回の記事のポイントは次のとおりです。

おしどり贈与は、基礎控除と合わせて最大2,110万円の控除を受けられる制度

✓ おしどり贈与はメリットもあるが、デメリット・注意点もある

✓ 状況によっては利用する意味がないケース損をしてしまうケースがある

✓ おしどり贈与の適用を受けるためには贈与税の申告が必要




贈与税を大幅に削減できるため、節税効果が大きな制度に思えますが、ケースによってはデメリットとなる可能性もあります。

おしどり贈与は、メリット・デメリットを検討したうえで利用する必要があります。

みやぎ司法書士事務所では、生前対策の支援を行っており、ご要望に応じて、お客様のニーズに合った税理士をご紹介することも可能です。
初回相談は無料・出張相談も対応可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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