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相続コラム

2023年04月27日

【相続】遺留分とは?遺留分の基礎知識をわかりやすく解説

相続コラム|岡山県みやぎ司法書士事務所

 
<目次>

1.遺留分とは
2.遺留分侵害額請求とは
3.遺留分が認められる相続人と遺留分の割合
4.遺留分の基礎となる財産
5.遺留分侵害額請求の方法と流れ
6.遺留分侵害額請求の期限
7.遺留分の放棄はできるか
8.まとめ
9.遺留分に関するよくあるご質問






1.遺留分とは

遺留分とは、一定の法定相続人に最低限保証される相続財産のことです。

配偶者や子どもなどは、被相続人が亡くなったときに財産を相続する権利を持っています。
しかし、不公平な遺言・生前贈与・死因贈与によって遺留分が侵害された場合には、一定の相続財産を遺留分として受け取る権利があることを主張することができます。




2.遺留分侵害額請求とは

「すべての財産を長男に相続させる」などのように不公平な遺言・生前贈与・死因贈与が行われ、遺留分が侵害された相続人は、侵害した相手に「遺留分侵害額請求」の行使をすることができます。

遺留分侵害額請求とは、遺留分を侵害された相続人が侵害した相手に対して、遺留分をお金で返還するよう請求する手続きです。

2019年の法改正前は、遺留分の請求は「遺留分減殺請求」という制度でした。
遺留分減殺請求は、遺留分を「お金」ではなく、不動産や預金・株式などの「遺産そのもの」を返還してもらう手続きでしたが、法改正により、遺留分は原則としてお金で清算する手続きに変更されました。




3.遺留分が認められる相続人と遺留分の割合

遺留分が認められる相続人は、次の法定相続人です(民法1042条1項)。
(1)配偶者(夫、妻)
(2)直系卑属(子ども、孫、ひ孫など)
(3)直系尊属(親、祖父母など)

被相続人の兄弟姉妹や甥姪には遺留分が認められていないため、遺留分を主張することはできません。兄弟姉妹は子どもなどと比較すると、被相続人との関係が薄いためと考えられます。

遺留分の割合は、相続人が直系尊属のみの場合は法定相続分の3分の1となり、それ以外の場合は法定相続分の2分の1となります。




4.遺留分の基礎となる財産

遺留分の基礎となる財産額を計算する方法は、次のとおりです。

遺留分の基礎となる財産額
=「相続財産の価額」+「贈与の価額 ※」-「債務の全額」


「贈与の価額 ※」について
・特別受益に該当する、相続開始前10年以内の贈与
 (2019年7月1日の法改正前に開始した相続については期間制限なし)
・特別受益以外で、相続開始前1年以内の贈与
・特別受益以外で、相続開始前1年以上前の贈与であっても、贈与者と受贈者が遺留分権利者に損害を与えることを知ってした贈与




5.遺留分侵害額請求の方法と流れ

(1)話し合いをする
まずは、相手と話し合いをします。話し合いで合意がまとまった場合は、合意書を作成し、侵害した相手からお金を返還してもらいます。


(2)内容証明郵便を送付して請求する
話し合いでは解決しない場合、遺留分侵害額請求書を内容証明郵便で送付して請求します。
内容証明郵便で請求書を送ると日付が記載され、確実に時効を止められるため、時効が迫っているような場合は、話し合いの前に内容証明郵便を利用して通知をすることが重要です。


(3)家庭裁判所で、遺留分侵害額の調停の申し立てを行う
内容証明郵便で請求しても話し合いで合意がまとまらない場合、家庭裁判所で遺留分侵害額の調停の申し立てを行います。
調停では、調停委員会に仲介してもらって相手と話し合いを行います。


(4)地方(簡易)裁判所で、遺留分侵害額請求訴訟をする
調停での話し合いが成立しなかった場合、地方(簡易)裁判所で、遺留分侵害額請求訴訟を起こします。




6.遺留分侵害額請求の期限

遺留分侵害額請求には「時効」と「除斥期間」という請求できる期間の制限があり、次のいずれかの期間を過ぎると、請求権の行使ができなくなるため注意が必要です。

時効:相続開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈のあったことを知ったときから1年以内
除斥期間相続開始のときから10年以内




7.遺留分の放棄はできるか

遺留分はあくまでも権利なので、請求するかどうかはその法定相続人次第です。
遺言書に「すべての財産を長男に相続させる」と書いてあったとしても、その他の相続人が納得していれば問題ありません。

また、遺留分を相続開始前に放棄することもできます。
ただし、遺留分を相続開始前に放棄する場合は、相続人が家庭裁判所で申し立てをして家庭裁判所の許可を受ける必要があります。 




8.まとめ

今回の記事のポイントは次のとおりです。

✓ 遺留分とは、一定の法定相続人に最低限保証される相続財産のこと

✓ 不公平な遺言・生前贈与・死因贈与が行われ、遺留分が侵害された相続人は、遺留分侵害額請求の行使をすることができる

✓ 遺留分侵害額請求には請求できる期間の制限がある

遺留分の放棄もできる




遺留分を請求するかどうかは自由ですが、請求できる期間を過ぎてしまうと請求できなくなりますので、早めの対応をすることが重要です。

遺留分を侵害する遺言書は有効ですが、遺留分のことも考えて遺言書を作成しておかないと、後々のトラブルの原因になりかねません。

みやぎ司法書士事務所では、遺留分についても考えながら、遺言書作成の支援を行っています。
初回相談は無料・出張相談も対応可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。




9.遺留分に関するよくあるご質問

Q.相続開始前に遺留分の放棄をすることができますか?

A.相続放棄は相続開始前にすることはできませんが、遺留分の放棄は相続開始前にもすることができます。ただし、家庭裁判所の許可が必要です(民法1049条)。

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